概要
美しい自然が残り、四季折々の変化を楽しめる山陰。
季節によって同じ場所でも全く違う表情を見せてくれます。
特に夏場は小旅行などに出かける機会が多く、各所でイベントも盛んに行われます。
梅雨明けの初夏の時期である6月上旬から7月上旬頃になると山陰各所でも蛍の姿が見られるようになり、デートスポットとしても人気です。
幻想的な蛍の光が飛ぶところを一目見ようと、全国各地から山陰に人が訪れる時期でもあります。
今回はそんな鳥取島根の蛍鑑賞スポットをご紹介。
蛍について知っておこう
蛍鑑賞スポットに向かう前に蛍について少し知っておきましょう。
初夏の風物詩のひとつ「蛍(ホタル)」は、世界におよそ2,000種以上が生息しており、日本国内では約40種程度が生息しているとされています。
蛍の大きな特徴として、夜間に蛍のお尻の部分が発光することが知られています。
発光する理由としては“交尾をする相手を探すため”というのが通説になっていますが、種類によっては幼虫でも発光することがあるので成虫の蛍だけが発光する訳ではないようです。
蛍の発光は大体5月下旬から7月初旬頃まで見ることができますが、朝鮮半島、中国、対馬に分布するアキマドボタルは秋に、西表島のイリオモテボタルは真冬に発光します。
国内で広く分布している種類としてはゲンジボタル・ヘイケボタル・ヒメボタルが挙げられます。
基本的に幼虫時代にカワニナ・タニシ・マイマイといった巻貝を食べ、成虫になるとかろうじて水を飲める程度に口は退化し、1~2週間の間は幼虫時代に蓄えた栄養のみで繁殖活動を行い、その生涯を終えます。
このことを踏まえると、最初の発生報告から1~2週間の間がその場所で蛍が最も見れる時期と言えます。
ゲンジボタル
日本で見られるホタルの種類の中では大型になる「ゲンジボタル」。
成虫の複眼は大きく丸くなっており、前胸部のピンク部分に黒い十字のような線があるのが特徴です。
主に渓流のような清流に生息しています。
メスのほうが体が大きく、発光する部分はオスが2箇所(第6腹節と第7腹節)なのに対し、メスは1箇所(第6腹節)だけ発光します。
交尾を終えたメスは川岸の木や石のコケに産卵します。
卵が黄白色から黒くなると幼虫は卵の中で発光し始めます。
やがて生まれた幼虫は川の中へ移動し、カワニナを食べて成長し、次の春の時期になると川岸のやわらかい土に潜って繭を作り蛹になります。
5月から6月になると羽化し、夜間に発光して相手を探すのです。
名前に“ゲンジ”と付いたのにはいくつかの説があり、無念の最期を遂げた源頼政の思いが蛍に例えられたり、「源氏物語」の主役である光源氏にかけたとの説もあります。
ヘイケボタル
ゲンジボタルよりも小型で、ゲンジボタルと異なり多少汚れた水でも生息しています。
主に水田、湿原といった止水域を中心に生息しており、幼虫の時はモノアラガイなどを食べています。
ゲンジボタルに対比する意味で“ヘイケ”と名づけられたという説があります。
成虫のピンク部分には黒く太い線があるのが特徴です。
雄の発光の明滅はゲンジボタルよりも早く、発生期間も長いためゲンジボタルと入り混じって飛び交うことが多いようです。
発生期間は長いものの密度は高くならないので、ゲンジボタルのように短期間で大量に発生することはありません。
多少汚れた水域でも生息できるものの、農薬や水田周辺の環境変化に伴って生息環境は狭まっています。
ヒメボタル
ヘイケボタルよりも一回り小さい「ヒメボタル」。
ヒメボタルのオスの成虫は前胸部のピンク部分にゲンジやヘイケのような黒い筋ではなく、前方が少し黒ずんだ色をしています。
対してメスは黒い点が2つあるのが特徴です。
また、ヒメボタルのメスは羽が退化しているため飛ぶことができません。
幼虫は水の中ではなく森林内に生息することが多く、主にカタツムリなどを食べます。
5~6月に羽化し、ゲンジボタル・ヘイケボタルが緑色を帯びた発光なのに対し、ヒメボタルは黄色を帯びた発光をします。
明滅もゲンジボタル・ヘイケボタルはゆっくりですが、ヒメボタルはパッパッパッとテンポ良く明滅します。
意外な所だと名古屋城の外堀などで見ることができます。
クメジマボタル
沖縄の沖縄県指定天然記念物に指定されている「クメジマボタル」。
久米島だけに棲息するゲンジボタルの一種で、前胸部がオレンジ色なのが特徴です。
他にも集団で成虫のオスは光りをシンクロさせる“集団同時明滅”を行い、メスは明け方に光りながら移動して川辺のこけなどに”集団産卵”します。
この行動は他の蛍にはないもので、蛍の中でもクメジマボタルは特殊な蛍と言えます。
幼虫時代は水中でカワニナ食べるなどゲンジボタルと基本的には同じ生態をしています。
ゲンジボタルとの分岐年代は相当古いとされており、およそ1500万年前にさかのぼると言われています。
そのため、種の研究に極めて重要な蛍であると言えます。
光り方もオレンジ色を帯びた色をしています。
クメジマボタルの発生時期は4月中旬~5月上旬と他の蛍と比べて比較的早い時期に見ることができます。
鳥取県
樗谷公園(おおちだにこうえん)
県内で最も有名な蛍の鑑賞スポット「樗谷公園(おおちだにこうえん)」。
JR鳥取駅の東にあり、国重要文化財に指定される鳥取東照宮に隣接して広がっています。
梅林、遊歩道、芝生公園、大宮池が整備され、憩いの場となっています。
園内を流れる樗谿川は、ゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタルの生息地となっており、ピーク時には100匹もの蛍が舞う姿を見ることができます。
住所 | 鳥取県鳥取市上町87 |
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TEL | 0857-22-3318 |
料金 | 無料 |
駐車場 | 有り(25台) |
三朝温泉
三朝町にある温泉街「三朝温泉」。
その温泉街を流れる三朝川では、6月上旬頃になるとゲンジボタルを見ることができます。
特に三朝橋と歩道橋のかじか橋を結んで整備された遊歩道からよく見ることができるので、オススメの場所となっています。
また、「ホタルの夕べ」が開催されることもあり、2017年は6月1日(木)~30日(金)に開催されます。
期間中は雨天でも、蛍の乱舞が見られる展示会場が設置されます。
温泉を楽しんだ後は、蛍を見ながら涼むのも乙なものです。
住所 | 鳥取県東伯郡三朝町三朝 |
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TEL | 0858-43-0431 |
料金 | 無料 |
駐車場 | なし ※無料、三徳川緑地駐車場、20台 |
日南町福万来
県内でも有数のホタル観賞スポットの一つ「日南町福万来」。
主にヒメボタルを鑑賞することができ、専用の駐車場もあります。
毎年、ヒメボタル発生の時期になると駐車場でキャラクターグッズを販売しており、収益金をヒメボタルの保護に使っています。
シーズン中はスタッフもいるので、迷うこと無く鑑賞スポットに行けます。
ゲンジボタル、ヘイケボタルは一般的によく見ることができますが、ヒメボタルは生息地が特に限られているため、そういった意味でも珍しいスポットです。
住所 | 鳥取県日野郡日南町福万来 |
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TEL | 0859-82-0933 |
料金 | 無料 |
駐車場 | 有り |
吉岡温泉
因幡三湯の一つとして古くから知られる吉岡温泉。
毎年、初夏の時期になると近くの長柄川でホタルが飛び交い神秘的な風景をみれます。
6月1日~20日はホタルまつり期間でイベントは6月中頃の日曜日に開催されます。
2017年は6月11日に開催予定。
住所 | 鳥取県鳥取市吉岡温泉町 |
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TEL | 0857-57-0800 |
料金 | 無料 |
駐車場 | 有り(30~40台) ホタルまつり当日は臨時駐車場あり |
金田川ホタルの里
西伯郡南部町にある「金田川ホタルの里」。
毎年シーズンになるとゲンジボタルを観ることができます。
一度は環境の変化に伴い金田川から蛍の姿が消えましたが、長年のボランティア活動により今では蛍の名所になりました。
金田公民館の横に駐車場があるので、そこから歩いて5分程度の場所にあります。
2017年6月10日(土)夕方からは「ホタルまつり」も行われます。
住所 | 鳥取県西伯郡南部町金田 |
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TEL | 0859-30-4822 |
料金 | 無料 |
駐車場 | 有り(70台) |
清流遊YOU村(せいりゅうゆうゆうむら)
倉吉市関金町小泉にある渓流管理釣り場「清流遊YOU村(せいりゅうゆうゆうむら)」。
渓流釣りやバーベキューを気楽に楽しめます。
ニジマス・イワナ・ヤマメ・ギンザケを釣ることができ、釣り堀で釣った魚は「渓流料理 いわなや」で調理してもらうこともできます。(別途お料理代が掛かります)
大山から流れ出る清流で栽培されたわさびも販売しており、自然の恵みを感じられます。
蛍のシーズンになると「蛍まつり」も行われ、川のせせらぎに耳を傾けながら蛍の乱舞を見ることができます。
住所 | 鳥取県倉吉市関金町小泉292-1 |
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TEL | 0858-45-2900 |
営業時間 | 年中無休 3月~9月→7:00~18:00・10月~2月→8:00~16:30 |
料金 |
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駐車場 | 有り(無料) |
青谷町八葉寺(はっしょうじ)
青谷勝部(あおや かちべ)にある勝部川の支流・八葉寺(はっしょうじ)。
近くには「ホタルの里公園」があり、上流の川中に残る元泳ぎ場付近ではゲンジボタルが観測されています。
近隣にある青谷勝部郵便局は「ホタルの里の郵便局」とも呼ばれています。
付近には子守神社があり、巨巌の岩陰に社がある変わった神社があります。
鳥居のすぐ後ろには大イチョウの木があり、どちらも鳥取市の天然記念物に指定されています。
住所 | 鳥取市青谷町八葉寺 |
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TEL | 0857-87-0043(青谷勝部郵便局) |
料金 | 無料 |
駐車場 | 有り(青谷勝部郵便局) |
島根県
安来市立吉田交流センター
安来市立吉田交流センター付近では毎年6月上旬になると「吉田ほたるまつり」が開催されます。
吉田町では蛍の自然増殖に取り組んでおり、ボランティアの人々によって蛍がが生きていける環境を整えています。
吉田ほたるまつり開催日にはほたる祭名物・そうめん流しや、地元特産品などを取り扱う各種屋台が並びます。
住所 | 島根県安来市 吉田交流センター付近 |
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TEL | 0854-27-0325 |
料金 | 無料 |
駐車場 | 有り |
玉造温泉
温泉総選挙2016環境大臣賞 うる肌部門1位を受賞した「玉造温泉」。
その玉造温泉から車で10分のところには田んぼと川があり、そこで毎年蛍を鑑賞できます。
地元の有志によって毎年大切に管理されたホタル保存地区で蛍の発生が確認されると、旅館宿泊者限定でシャトルバスも運行します。
シャトルバスはが発生していない時期は運行ていませんので注意してください。
住所 | 島根県松江市玉湯町玉造32-7 |
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TEL | 0852−62−3300 |
料金 | シャトルバス無料(旅館宿泊者限定のみ) |
駐車場 | 有り |
さぎの湯温泉旅館「竹葉」
足立美術館近くのさぎの湯温泉旅館「竹葉」。
その近隣には蛍が飛び交うスポットが多く存在しており、シーズン中は清流沿いで美しい蛍の光の群舞を見ることができます。
宿泊者はその日蛍の多そうな場所にバスで案内してくれます。
厄払いの清水寺も近くにあり、温泉、食事、観光を楽しめます。
住所 | 島根県安来市古川町438 |
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TEL | 0854-28-6231 |
料金 | シャトルバス無料(旅館宿泊者限定のみ) |
駐車場 | 有り |
ほたるの館
邑南町では蛍のシーズンになるとほたる公園内の「ほたるの館」周辺の口羽地区を流れる出羽川の支流 長田川から無数の蛍を見ることができます。
ほたるの館では、ゲンジボタルが大切に育てられています。
2017年6月10日(土) 行われる「ホタルまつり」では、里神楽や地元の食を楽しめるバザーもあります。
住所 | 島根県邑智郡邑南町下口羽1001番地1 |
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TEL | 0855-87-0200 |
料金 | 無料 |
駐車場 | 有り |
津和野町
津和野町では毎年「ほたるバスツアー」を行っています。
2017年は6月9日(金)・6月10日(土)・6月16日(金)・6月17日(土)に開催され、バスの中ではガイドさんがナビゲートしてくれます。
飛ぶというより湧いて出る位に蛍の乱舞を見ることができ、宿泊客はもちろん、地元の人も利用する位に人気のバスツアーです。
また、6月は殿町通りの掘割に咲いている花菖蒲(ハナショウブ)も見頃を迎えます。
ツアーは無料で参加できますが、定員に達し次第、受付終了となっています。
住所 | 島根県鹿足郡津和野町 津和野ホテル前始発 |
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開催日 | 2017年 6月9日(金)・6月10日(土)・6月16日(金)・6月17日(土) 津和野ホテル(20:00発) |
TEL | 0856-72-1771 |
料金 | 無料(定員50名) |
駐車場 | 要問い合わせ |
美都町
美都町にある美都温泉周辺では、毎年6月第3土曜日に「美都ほたるまつり」を開催しています。
2017年6月10日(土)に開催され、ステージ公演では姉妹都市である高槻市のオカリナ奏者や石見神楽の上演が行われます。
また、いろいろな夜店も立ち並びます。
当日には、絶好のほたるのスポットへ案内してくれるホタルバスの無料運行やほたるウォークも開催されます。
美都温泉「湯元館」では、5月27日(土)・6月3日(土)・6月17日(土)の20時にホタル観賞バスを運行しています。
住所 | 島根県益田市美都町宇津川(旧二川小学校体育館付近) |
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開催日 | 2017年 2017年6月10日(土) 18:00~22:00 津和野ホテル(20:00発) |
TEL | 0856-52-3160 |
料金 | ほたる観賞イベント バス・ウォーク共に200円(幼児無料) |
駐車場 | 要問い合わせ |
大東町
雲南市大東町は蛍の町で有名です。
2017年はJR木次線が全線開通して80周年、JR出雲大東駅が新駅舎になって10周年を記念して6月10日(土)にJR出雲大東駅前にて「第1回 大東ほたる祭り」を開催します。
ステージイベントも行われ、フードコーナーも設置されます。
毎年開催されているホタル観賞ツアー「ほたる観バス」も当日は実施され、神楽の鑑賞後、蛍を鑑賞します。
ほたる観バスのみ、6月10日・11日の2日間行われます。
6月10日の大人のツアー参加者には木製の「記念乗車券」がプレゼントされ、さらに足元を照らすミニライトもプレゼントされます。
住所 | 島根県雲南市吉田町吉田 JR出雲大東駅前 |
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開催日 | 2017年 2017年6月10日(土) 14:00~22:00(第1回 大東ほたる祭り) 2017年6月10日(土)・11日(日) 18:30(ほたる観バス) |
TEL | 0854-43-8650(第1回 大東ほたる祭り つむぎ) 0854-74-0500(吉田ふるさと村 観光事業部) |
料金 | ほたる観バス 大人(中学生以上)2,000円 小人(小学生)1,000円 幼児無料 定員46名 |
駐車場 | 要問い合わせ |
マナーを守って蛍を鑑賞しましょう
蛍は人口の光に敏感な生き物なので、懐中電灯やスマートフォン・カメラのフラッシュを蛍に向けるのは厳禁です。
蛍の鑑賞はどうしても暗い時間帯になり、足元も見えなくなるので、懐中電灯を使用する場合は足元だけに向けて鑑賞する際は消灯しましょう。
また、蛍を捕まえるのはもちろん、虫除けスプレーの使用も鑑賞場所によっては禁止されています。
環境が荒れたことにより、一時は蛍の姿が消えた地域も、自然の回復に努めたボランティアなどの方々によって再び蛍が戻ってきたところも少なくありません。
こういった努力を無駄にしないためにも蛍の鑑賞はマナーを守って静かに鑑賞しましょう。