概要
鍋や煮物に定番の食材である「こんにゃく(蒟蒻)」。
低カロリーの食材としても広く知られており、ダイエット食として人気が高いです。
色々な形のこんにゃくが販売されており、プリっとして弾力のある独特な食感がクセになります。
近年ではお肉の替わりにこんにゃくを使用したレシピも紹介されることも増え、こんにゃくを使用したデザートも登場しており、ダイエット中の女性からも注目を集めています。
今回はそんなこんにゃくについてご紹介。
こんにゃくの歴史
こんにゃく(蒟蒻)は元々はコンニャク芋というミャンマー、マレーシア、タイなどの東南アジア原産のサトイモ科の植物です。
その根茎を加工することで市場に出回っている形のこんにゃくとして販売されています。
地上には葉っぱだけを出し、大体4~5年かけて濃い赤紫色の花を咲かせますが、鼻につく強烈な臭いを放ちます。
ですが、日本ではあまり花を咲かせることがないため、見たことがある人は少ないです。
海外ではその見た目から“悪魔の舌”や“魔芋”とも呼ばれています。
大きい花として知られている「スマトラオオコンニャク」や「ゾウコンニャク」もコンニャク芋の一種です。
こんにゃくの歴史には様々な説があり、古くは中国から仏教の伝来とともに精進料理として伝わったと言われています。
他にも飛鳥時代の聖徳太子が生まれる前に朝鮮から伝わった説、同時代の遣唐使が持ち帰った説などもあります。
平安時代の歌人・源順(みなもとのしたごろう)の書いた辞書「和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)」にもこんにゃくのことが記載されており、その歴史は長いことが伺えます。
当時の頃からコンニャク芋を灰汁で処理するという方法でこんにゃくが食べられており、医薬用として珍重され、貴族や王族が食していました。
鎌倉時代以降になるとこんにゃくが一般的に食べられるようになり、たれ味噌で煮て食べていました。
戦国時代には豆腐や納豆と一緒に食べられ、江戸時代には庶民の味として売られるようになりました。
あの詩人・松尾芭蕉も刺し身こんにゃくを好んで食べたと言われています。
名産地
群馬県
群馬県はコンニャク芋の収穫量9割のシェアを持つ県です。
世界遺産「富岡製糸工場」から15分のところにある株式会社ヨコオデイリーフーズの「こんにゃくパーク」は連日多くの人が訪れています。
こんにゃくパークでは無料で工場見学やこんにゃくバイキングが楽しめます。
手作りこんにゃくゼリー体験やこんにゃく詰め放題などもあり、足湯もあります。
こんにゃくだけでなく、白滝やゼリーもあり、限定商品も取り揃えたまさにこんにゃく王国と呼べるテーマパークです。
栃木県
コンニャク芋生産量が第2位の栃木県。
実は会席料理などに使われている刺し身こんにゃくが生まれた県でもあります。
元々は栃木県の郷土料理で、こんにゃく製造の技術を応用して刺身としても食べられるこんにゃくが生み出されました。
通常のこんにゃくは灰汁を使って固めますが、刺し身こんにゃくの方は食用石灰で固めます。
ほどよい固さになったこんにゃくは、舌触りも良くなり、刺し身として食べられるようになりました。
見た目も涼しいので、夏場にはよく見かけるようになります。
福島県
コンニャク芋の生産量第3位の福島県。
福島の名峰「安達太良連峰」の中腹に位置する温泉町にある「土湯温泉」。
古くから湯治場として知られている土湯温泉にはこんにゃくのお店「金蒟館(きんこんかん)」があります。
独特なこんにゃく製品を販売しており、しょうゆ味・田楽みその2種類から選べる「ちぎり蒟蒻」や「こんにゃくアイス」を販売しています。
近くを流れる清流の荒川の水を使用しており、その土地ならではのこんにゃくを味わえます。
効果・効能
食物繊維が豊富
こんにゃくはなんと言っても食物繊維が豊富な食べものです。
こんにゃくにはグルコマンナンという水溶性食物繊維が豊富に含まれており、腸内細菌によって分解され、腸内環境を整えるオリゴ糖に変化します。
グルコマンナンは別名ではコンニャクマンナンとも呼ばれており、こんにゃくに多く含まれています。
これにより腸の動きが活発になり、便秘の改善が期待できます。
また、体内の有害物質を排出する効果もあり、体の内側から綺麗にしてくれます。
グルコマンナンには糖分を吸収するスピードを抑える効果もあるため、血糖値の上昇を抑制したり、コレステロール値を下げる効果もあります。
低カロリー
こんにゃくはカロリーが低く、量の割に満足感もあるためダイエット食としても人気です。
食物繊維が多いことは述べましたが、食物繊維は水分を含むことによって膨張します。
これにより、お腹が張り、空腹感を減らしてくれるのです。
ただし、こんにゃくは栄養素が少ないため、他の食材などで足りない栄養を補う必要があります。
こんにゃくだけでダイエットするのではなく、バランスの良い食事をすることがダイエット成功の近道です。
また、甘いものが欲しい時はこんにゃく粉を使用したお菓子を作っても良いでしょう。
カルシウムが豊富
こんにゃくにはアルカリ性のカルシウムが豊富に含まれています。
アルカリ性のカルシウムは酸に溶けやすく体内で吸収されやすいカルシウムです。
人は血中のカルシウム濃度を一定に保つ仕組みがあり、骨のカルシウムが溶け出すなどして一定に保たれています。
カルシウム摂取量が少ないと骨のカルシウムが不足し、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)になる可能性があります。
そのため、カルシウムは人間にとって重要な栄養素のひとつであると言えます。
保存方法
冷蔵保存
比較的長期間の保存が可能なこんにゃく。
当然開封する前の方が保存可能な期間は長く、開封後は短くなります。
未開封の状態で冷蔵保存し、保存状態が良ければ大体半年は持ちます。
開封後は、こんにゃくが入っていた袋の中の保存液とこんにゃくをタッパーに入れて冷蔵保存すると通常の冷蔵保存より長持ちます。
保存液を捨ててしまった場合は、普通の水とこんにゃくをタッパーに入れて浸けておき、2~3日1回水を交換すると1週間以上持ちます。
冷凍保存
こんにゃくは基本的には冷蔵保存に向いている食材で、冷凍するとスポンジ状になる性質を持っています。
いわゆる「冷凍こんにゃく」は、普段のこんにゃくとは違った食感を楽しむことができますが、食感が元に戻ることはありません。
冷凍保存する場合は、こんにゃくを適当な大きさに手でちぎり、軽く塩もみします。
その後、1~2分程茹でてアク抜きをしたら水気を切り、冷ましたら冷凍保存する準備完了です。
保存期間は大体1ヶ月程度。
解凍する際は自然解凍か、流水で解凍します。
美味しい食べ方
お刺身こんにゃく焼肉風味
夏の時期、ご飯も自然と涼しく感じられるものが欲しくなるものです。
こんにゃく料理は暖かいものが多いですが、「お刺身こんにゃく焼肉風味 」なんていかがでしょうか?
薄くそぎ切りにした板こんにゃくを塩を入れた熱湯で煮て、臭みを飛ばします。
しっかりと湯切りをした後は、ジップロックなどに入れて焼き肉のタレをこんにゃくが浸るまで入れます。
冷蔵庫に入れて冷ましたら小口ネギを散らして完成です。
味がしっかりしており、涼しさも感じられるので暑い夏場にぴったりのこんにゃく料理です。
こんにゃくステーキ
こんにゃくなら低カロリーなステーキもできます。
板こんにゃくに味がしみこむように斜めに包丁を入れ、サイコロ状に切ります。
塩もみをして10分経ったらお湯をかけて、強火にかけたフライパンへ。
こんにゃく周りが白くなったら、中火にして、醤油・ゴマ油・すりおろし生姜を入れて汁気がなくなるまで炒めます。
後はお皿に持ってネギを散らしたら完成です。
満足感もあり、ダイエット料理としてもこんにゃくステーキは人気のレシピです。
こんにゃく唐揚げ
冷凍したこんにゃくは牛すじのようなお肉の食感に似ており、お肉の変わりにもなります。
「こんにゃく唐揚げ」は、冷凍こんにゃくを揚げるのでまるでもも肉のような食感を楽しめます。
作り方は冷凍こんにゃくを解凍し、ニンニク・醤油・生姜を入れた調味料に1時間程度味を染みさせます。
その後、片栗粉をまぶして、180℃の油で揚げるとジューシーな唐揚げに。
ダイエットだけでなく、節約レシピとしても活躍します。
まとめ
栄養素の少ないこんにゃくですが、その性質を活かせば美味しく健康的な料理にすることができます。
こんにゃくは灰汁抜きをすることで独特な臭みがなくなるので、こんにゃくが苦手な人は灰汁抜きをしっかりとされたものを食べるとまた違う感想になるかもしれません。
煮物にされることの多いこんにゃくですが、刺し身こんにゃくを好んで食べる人も増えており、市場でも様々な種類のこんにゃくが売られるようになりました。
これまで買ったことがないこんにゃくを食べることで、新しいレシピが思いつくでしょう。