概要
料理において欠かせない存在である「ネギ(葱)」。
風味付けに使用したり、そのまま焼いたりと色々な食べ方があります。
幅広い料理に使われるネギは、一年を通して購入することができます。
前もって小さくカットされたネギを冷蔵庫に常備している人も少なくありません。
今回はそんなネギについて。
ネギの歴史
中国ではネギを約3000年前から栽培されていました。
日本では、奈良時代の日本最古の歴史書「日本書紀」にはじめて名前が登場します。
朝鮮半島から伝来したネギは、おそらく奈良時代より前から栽培されていたのではないかとと考えられています。
日本書紀には、735年の聖武天皇の時代に天然痘が流行し、ネギを食べることで対策し、効果があったと記録されてます。
また、日本最古の薬物事典「本草和名(ほんぞうわみょう)」などでもネギについて記載されており、殺菌・解毒作用がある食物として神事や祭事に奉納されていたようです。
現在、日本国内で食べられているネギは大きく分けて、白い部分が長い「長ネギ(根深ネギ・白ネギ)」と根元まで葉の緑色の「葉ねぎ(青ネギ)」に分かれてます。
東日本では長ねぎ、西日本では葉ねぎが好まれる傾向にあり、一般的には「ネギ」のことを白ネギを指してます。
名産地
千葉県
千葉県はネギの生産量が最も多い県で、総生産量は年間6.6万トンにも上ります。
「坊主不知ネギ」は冬ネギと夏ネギの端境期に食べることが出来るネギですが、出荷時期は約1ヶ月と短いネギです。
「足長美人」は食感と品質が良く、全国のスーパーなどでもよく見かけます。
また、「あじさいねぎ」は松戸市小金地区で栽培される葉ねぎの総称となっています。
埼玉県
埼玉県では、毎年6.4万トンものネギが生産されています。
埼玉県深谷市を中心に生産されている「深谷ネギ」は全国的に有名です。
太さ、形などが特に優れたものを厳選しているため、普通の根深ネギとはまた違うものになっています。
糖度は10~15度前後と甘く、冬の深谷ネギを使用したすき焼きでは砂糖を入れないという人も。
茨城県
茨城県は、ネギを年間4.8万トン生産しています。
主に赤ネギと呼ばれる品種が有名で、水戸地方では赤ねぎを品種改良した「レッドポアロー」が出荷されています。
他にも「ひたち紅っこ」という赤ネギもあり、葉鞘が太く、一本150グラム程度と独特のボリューム感があります。
軟らかく、熱を通すと甘みが強くなる赤ネギなので、薬味や鍋物などに使われています。
効果・効能
疲労回復・風邪予防に
ネギにはニンニクなどと同じアリシンという栄養素が含まれており、疲労回復や滋養強壮に効きます。
ネギの白い部分に多いアリシンはビタミンB1の吸収を促進し、持続時間を長くするなどの効果があります。
そのため、ビタミンB1が含まれている豚肉などともネギは相性が良いのです。
また、アリシンは強力な抗酸化作用を発揮するため、抗がん作用、血栓の予防・改善などにも期待できます。
強力な殺菌作用もあるため、風邪の予防にも効果的です。
冷え性の改善に
アリシンは抗酸化作用により、中性脂肪・悪玉コレステロールの低下や血栓予防などにも効果的です。
毛細血管を広げて血流を改善する作用もあるので、女性に多い冷え性の改善も期待できます。
ネギ湯やネギの入った味噌汁を飲むことで血行が促進され、体温が上がり、冷えからくる頭痛や腹痛も解消します。
不眠症・寝付きの悪い時に
ネギのアリシンには神経を鎮める鎮静作用があります。
この鎮静作用は不眠症や寝付きの悪い時に効果があるという研究結果が報告されています。
そのため、不眠症や普段から寝付き悪い人は、できるだけ夕方から夜にかけてネギを食べると睡眠不足の改善に期待できます。
人は睡眠不足に陥ると集中力が落ち、死亡リスクも高まるので睡眠は非常に重要な存在です。
また、アリシンの特徴として、揮発性も高いので切ったネギを枕元に置いておくといったことでも効果が期待できます。
とはいえ、ネギの匂いを嗅ぎながら寝るのは少し抵抗があるかもしれませんね。
美容にも
人はストレス・紫外線・タバコなどによって細胞の酸化が起こっています。
ですが、ネギに含まれているアリシンにはこの参加を抑制する抗酸化作用持ちます。
そのため、酸化によって引き起こされる老化を抑える効果が期待できます。
また、ネギに含まれているビタミンCにはメラニン色素の生成を阻害する効果があり、美白効果が期待できます。
他にもビタミンEには血行を促進して栄養素を身体の隅々まで届けてくれるため、肌細胞の生まれ変わりの向上効果が期待出来ます。
保存方法
ネギはその種類によって最適な保存方法も異なります。
例えば、「根深ねぎ」の場合は新聞紙で包み、冷暗所で立てて保存します。
土が付いている場合は、土に埋めておくとより長持ちします。
冬ネギの場合は、霜のあたらない場所で白身の部分を土の中に埋めます。
中途半端に残った場合は、白と緑の部分で切り分け、ポリ袋に別々に入れて、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。
「葉ねぎ」の場合は、湿らせた新聞紙に包んで冷蔵庫の野菜室で保存します。
どちらもみじん切りや小口切りにして冷凍しておくと、大体1ヶ月程度持ち、薬味などにもすぐに使うことができます。
美味しい食べ方
ねぎのオンボ焼き
千葉県では古くから伝わっている「ねぎのオンボ焼き」という食べ方があります。
ネギを1本丸ごとアルミホイルで包み、それを火の中に入れて、表面がコゲた頃合いに取り出して食べます。
適度に加熱されたネギの中はとろーっとしており、ネギの味と甘みを楽しむことができます。
ねぎは切れば切るほど味が逃げるといわれています。
そのため、オンボ焼きはネギ本来の味を楽しむことができる調理法と言えます。
ねぎ塩ダレ
ネギは薬味として使用することが多い素材です。
そこで、塩ダレにすることで普段のネギとは違った味を楽しむことができます。
みじん切りにした長ねぎ、にんにく、しょうがをフライパンにごま油を入れて炒めます。
塩小さじ1/4、顆粒だしと砂糖を小さじ1を混ぜ合わせたら完成です。
焼いた鶏肉や豚肉と相性が良く、夏の時期にもピッタリです。
ネギを大量に消費したい時にもオススメです。
ねぎキムチ
ねぎ塩ダレと同じく調味料として使える「ねぎキムチ」。
作り方は簡単で、市販されているキムチの素を使用します。
キムチの素を大きめのビンに少量入れて、そこに輪切り、ナナメ切りにしたネギを少量入れてかき混ぜます。
これを繰り返して、ネギがしんなりしてくるまで冷蔵庫で置いておきます。
このねぎキムチを加えるだけでキムチ鍋やブタキムチにすることができるので、辛いものが苦手な人のために別々に作る必要も無くなり、キムチ好きにオススメの調味料になります。
まとめ
昔から風邪を治すのにも良いとされているネギ。
科学的に検証される以前から昔の人はその効能を理解していたのですね。
まさに先人の知恵と言えます。
ネギには独特な臭みと味がしますが、意外にも嫌いな人は少なく、日本人の味覚と相性が良いのdしょう。
また、ネギは魚料理とも相性が良く、漁業が盛んな日本では自然と食べるようになったのかも知れません。