食材特集!「旬の鮮魚」について(3月~5月編)

食材特集!「旬の鮮魚」について(3月~5月編)

概要

冬が終わり、春が近づいてくる3月はまだまだ冬の魚が美味しい時期です。
また、この時期になるとサワラやさよりといった春を感じさせる魚も出始めてきます。

 

サクラエビやシラエビもこの時期で、5月頃になると初鰹が獲れ始めます。

 

夏の『6月~8月編』、秋の『9月~11月編』、冬の『3月~5月編』と紹介してきましたが、今回は春の時期が旬となる魚をご紹介します。

 

3月~5月が旬の鮮魚

サワラ(鰆)

鰆春の魚と書いて“鰆”と書くサワラ
胴体が細長く、「狭い腹」から「狭腹(サワラ)」と名付けられました。

 

関東などでは小さいものを「サゴチ」、大きいものを「サワラ」と呼んでいます。
一方で関西はというとサゴシ→ヤナギ→サワラと変化していき、関東と呼び方が異なります。

 

 

 

関東では冬の魚ですが、春から夏にかけて産卵のため瀬戸内海に押し寄せることから和歌山や岡山といった地域ではこの時期に食べられています。

 

ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)を多く含み、血栓の予防やガンの抑制効果に期待できます。
カルシウムの吸収を促進するビタミンDや、細胞の増殖を助けるビタミンB12も豊富に含まれています。

 

ニシン(鰊)

ニシン主に東北から北に生息するニシン(鰊)
ニシンは、春告魚(はるつげうお)という別名もあります。

 

現在は乱獲によってその数が減り、市場に出回る量も減りました。
ニシンの“カズノコ(数の子)”も、大半は輸入ものです。

 

ニシンそのものを味わう場合は旬の時期は秋ですが、産卵時期にあたる3~5月はカズノコが旬の時期です。

 

脂質が多く、カルシウム、鉄、ビタミンEなどが豊富な魚です。
ビタミンEには抗酸化作用があり、美肌効果、抗疲労効果が期待できます。

 

カズノコは塩蔵の物が基本ですが、獲れたてのニシンから取れる生のカズノコは塩蔵の物と比べて栄養価が高く貴重です。
カズノコのコレステロールは、鶏卵の3分の2以下とタラコやイクラよりも低いです。

 

また、意外にも毎日食べ続けると血中コレステロールを下げ、生活習慣病を防ぐという発表もされています。
ただし、塩分過多には注意が必要です。

 

ウスメバル(薄眼張)

メバルウスメバル(薄眼張)はカサゴの一種で、「目春」や「春告魚」とも呼ばれており、春の時期にあたる2月~4月までが旬の魚です。
特にタケノコの出る時期が美味しく、5月位まで多くのウスメバルが市場に出回ります。
写真はアカメバルですが、ウスメバルは全体に薄い赤みがあり、背に縞模様があるのが特徴です。

 

一般的にはウスメバルを「筍メバル」と呼び、標準和名の「タケノコメバル」とは別種のメバルになります。

 

地方によってはウスメバルを”メバル”と呼んでいるところもあります。
目が大きく、張りだして見えることからメバルと名付けられました。

 

鮮度の良いものはシコシコとした歯触りで、脂がのっており、刺し身に最適。
基本的には煮付けにされることが多く、サイズの小さいものなら唐揚げで2度揚げすると骨まで食べられます。

 

高タンパク・低カロリーな白身魚で、DHAやEPA、ビタミンB12を豊富に含んでいます。
脂質が少ないため消化吸収がよく、効率的にタンパク質を補充できる魚です。
高齢者やダイエット中の人にも適した食材と言えます。

 

ビタミン・ミネラル類は少な目ですが、カルシウム量が魚の中でも多く、骨粗鬆症の予防効果もあります。

 

マテ貝(馬刀貝)

マテ貝2月から5月が旬のマテ貝(馬刀貝)
長方形の形をした貝で、瀬戸内海や三河湾、東京湾の内湾の干潟や浅い泥の海で獲ることができます。

 

潮干狩りでも比較的簡単に獲れる貝ということで、ゴールデンウィークのレジャーとしてマテ貝堀りを楽しむ人が多いです。

 

クセや臭みがなく、ワタにも苦味はあまりないため、食べやすく美味しい貝として市場では高めの価格がつけられています。
酒蒸しや煮付け、ソテーなど他の貝のように調理して食べることができます。

 

マテ貝はアミノ酸の一種であるベタインが多く含まれています。
高脂血症や肝機能の改善に効果があり、甘味や旨味に関わりのある栄養素です。

 

ベタインはトリメチルグリシンやベタイングリシンとも呼ばれており、化粧水やシャンプーなどの原材料に用いられています。

 

ウチワエビ(団扇海老)

ウチワエビウチワエビ(団扇海老)は平たく団扇のような形からウチワエビと名付けられました。
元気の良い海老の一種で、尾をバタバタとさせます。
新鮮なものを選ぶ場合は元気よく動くものが良いでしょう。

 

市場ではオオバウチワエビ(大歯団扇海老)もウチワエビとして卸されています。

 

 

 

西日本では比較的知られているウチワエビですが、出回る数は少なく、基本的には地元で食されている食材です。
見た目以上に身があり、甘みが強いので新鮮なものは刺し身にしたり、丸ごと焼きエビにして食べます。

 

ウチワエビの身には血圧を下げる働きなどをするタウリン、糖尿病や肥満の予防になるベタイン、冷え性の改善や二日酔いに効果なナイアシン、老化の予防に役立つキトサンなどが含まれています。

 

まとめ

春の時期は、北にいた魚が西日本近海に訪れる時期でもあります。
サワラはその筆頭とも言え、この時期になると市場でもよく見かけるようになります。

 

ニシンやメバルだけでなく、地域によってはアマゴやイカナゴ、サワラなども“春告魚”と呼ばれることがあります。

 

地域では馴染みの魚や貝などでも県外では珍しい食材ということも多く、旅行をする際の楽しみでもあります。
特に刺し身は鮮度が重要なので、変わった魚や貝、海老の刺し身が食べたい場合は産地で食べることをオススメします。


2016/6/20更新

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