概要
秋へと変わる9月から11月。
秋は“味覚の秋”と言われるだけあって美味しい食材が多く穫れる時期です。
特に、秋の魚は脂がのった魚が多く、ご飯もすすむので多くのご家庭で魚料理が食べられています。
秋に旬を迎える魚は産卵のために栄養分を蓄えており、これが旨味となってより美味しくなるのです。
『食材特集!「旬の魚」について(6月~8月編)』では6月~8月が旬の魚を紹介しましたが、今回は9月~11月が旬の魚を紹介します。
9月~11月が旬の鮮魚
サンマ(秋刀魚)
秋の味覚の定番といえば、サンマ(秋刀魚)です。
東京都品川区の目黒では毎年秋になると「目黒のさんま祭」が開催されており、多くの人々がサンマを求めて参加しています。
『目黒のさんま』は落語にもなり、その美味しさは有名です。
他にも北海道根室市や熊本県女川町、千葉県銚子市でもサンマに関するお祭りが開催されています。
サンマはDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)を多く含んでおり、脳細胞や目の網膜の活性化、動脈硬化や抗血栓を防ぐと言われています。
鉄分などのミネラルも豊富で、神経を正常にしたり、貧血などを防ぐビタミンB12も含んでいます。
カレイ
よく焼き魚や煮物にして食べられているカレイ。
一部を除いて「左ヒラメ、右カレイ」と言われており、目の位置でヒラメとカレイを判断します。
カレイの旬の時期は種類によって異なり、大抵は10月から2月までが旬となっています。
そのため、一年を通してカレイを食べることができます。
カレイは低脂肪なのに高タンパクな魚で、タウリンが豊富に含まれています。
栄養ドリンクなどに含まれているタウリンは動脈硬化の予防やコレステロール値の低下などに効果があり、健康を支えてくれます。
カンパチ(間八)
カンパチ(間八)は、ブリやヒラマサと合わせて“ブリ御三家”と呼ばれている魚です。
旬の時期は一般には夏となっていますが、冬の時期の寒ブリと、夏が旬のヒラマサの間を埋めるように大体8月後半から11月に出荷されています。
適度な脂があり、刺し身か寿司にして食べられています。
鮮度の良いものであれば独特な食感を楽しむことができ、鮮度がおちたものは厚めに切って刺し身にして食べます。
カンパチもDHAとEPAが豊富なのも特徴です。
カツオ(鰹)
カツオ(鰹)はマグロ、ブリ、アジ、カジキなどと同じく“回遊魚”なので、止まると死んでしまう魚です。
市場に並ぶときには腹に黒い筋模様が入っていますが、これは生きている時には無く、カツオが死んだ後に出ます。
9月に穫れるカツオは、“戻りカツオ”と呼ばれます。
日本近海の黒潮の流れにのって春に九州南部から北上、秋には宮城県沖で親潮にぶつかる場所でUターンすることから秋のカツオは”戻りカツオ”と呼ばれています。
また、4月5月頃に穫れるカツオは“初鰹”と呼ばれています。
DHAとEPAが豊富なのはもちろん、タウリンも豊富で、肝機能を高めてくれます。
ビタミンやミネラルなども豊富ですが、初鰹に比べて、戻りカツオは脂肪が一気に増えます。
そういった意味では初カツオの方がヘルシーと言えます。
サヨリ(細魚)
サヨリ(細魚)は、11月頃から春の5月頃までが旬の魚で、長い期間食べることができます。
北海道から九州の各地の沿岸まで広く生息しており、釣りでも人気の魚です。
長く伸びたくちばしが特徴で、くちばしの下側が赤いものが新鮮な状態となります。
癖の無い上品な味で、新鮮なものは刺身や天ぷらに、フレンチ料理などにも使われます。
ただし、傷みが早く、ワタ抜きを行ったら軽めの塩水に数分浸してキッチンペーパーなどで包み、ラップをかけて冷蔵庫へ入れましょう。
高タンパク、低脂肪、低カロリーな魚で、ダイエット中の方や高齢者、お子様に適しています。
また、亜鉛も豊富に含まれており、味覚機能の改善が期待できます。
アカムツ(ノドグロ)
市場では高級魚として知られているアカムツ(ノドグロ)。
漁獲量はあまり多くなく、流通量も少ない魚です。
石川県や福井県、島根県などの一部地域では、ノドグロと呼ばれており、口の奥の喉が黒いことからノドグロと呼ばれています。
また、一般的に”アカムツ”と呼んではいるものの、実はスズキ目に分類され、クロムツとは別の種類に分類されています。
これは千葉の漁師が脂がのっていることを「むつっこい」と言うことから由来しているとも。
一年を通して美味しい魚ですが、晩秋から冬の時期が最も美味しい旬と言われる一方で、産卵前の7月から8月が最も美味しいとも言われています。
脂が多い魚ということもあって、DHAとEPAが豊富で、疲れ目や視力低下の改善に期待できます。
昔は“病人の栄養食”と言われる位に栄養も豊富な魚です。
まとめ
9月から11月の秋の時期の魚は脂がのっているものが多く、美味しく食べられます。
刺し身や焼き魚にするにはピッタリの時期で、秋は自然と魚を食べる機会が増えるという人もいるのではないでしょうか?
地方によって魚の呼び方は違うこともありますが、その美味しさは共通で、各地で食べられています。
意外と呼び方が異なる魚は多く、調べてみると実は普段食べている魚のことだったということも。
食べるだけでなく、その名前の由来も調べてみると新しい発見ができそうです。